学部長メッセージ・創設の理念スポーツウエルネス学部

学部長メッセージ

ウエルネス社会の到来

スポーツウエルネス学部
学部長 沼澤 秀雄教授



スポーツウエルネス学部は立教大学で第11番目の学部として、そして新座キャンパスとしては第4番目の学部として創設されました。既にあるスポーツ科学の探求や運動による健康の維持・増進に関わる研究はもとより、教育のテーマに「すべての人の生きる歓びのために」を掲げスポーツを基盤とした人間の生きかたにスポットを当てた学びを行います。そこにはスポーツパフォーマンス向上への取組み、心身についてのポジティブな働きかけ、人と自然環境の調和を目指し、持続可能な社会を追求する取り組みなどが含まれています。

未だに終息が見えない新型コロナウイルス感染症、地球環境の悪化と自然災害、国同士の争いなど、我々は不確実で不安な生活を余儀なくされています。このような世の中だからこそ「よりよく生きる」というウエルネスの考え方に注目して欲しいと思うのです。WHO(世界保健機構)が示している健康の定義(身体的、精神的、社会的に良好な状態)を一歩進めて、誰もが自分らしく生きることができる社会を目指すカリキュラムがスポーツウエルネス学部には用意されています。

近代オリンピックの父といわれたピエール・ド・クーベルタンが世界の平和と青年の国際交流を目指したように、スポーツウエルネス学部は学際的で開かれた学問領域である「スポーツ」と「ウエルネス」において人間の力と価値を検証し「すべての人の生きる歓びのために」を考察します。共に未来に向けた学びを始めましょう。

創設の理念

立教大学を創設した「聖公会」と「スポーツ」は深い関係にあります。聖公会は、16世紀の英国宗教改革によって生まれた英国国教会を母体とするが、国教会体制を堅持する目的で、1617年に英国王ジェームス1世が公布したのが『スポーツの書』(The Book of Sports)でした。この時に奨励されたのは、アーチェリーや跳躍競技、モリス・ダンスなどでした。その後、さまざまなスポーツ競技が英国において誕生し、近代スポーツのほとんどが英国起源である背景には、このような歴史があります。

1828年に、英国の歴史あるパブリックスクール、ラグビー校の校長として着任した、聖公会の司祭であり、神学博士でもあった、トマス・アーノルドは、カリキュラムを大胆に改革し、学生の知力のみならず、全人的な人格教育を徹底的に行いました。アーノルドがその教育改革の基軸として着目したのが、キリスト教教育と共に「スポーツ」であり、とりわけ「フットボール」でした。これが「ラグビー」「サッカー」の起源でもあります。スポーツが人格教育に重要な意義を有することを訴え続けたアーノルドに、強い影響を受けたのがピエール・ド・クーベルタンであり、彼はアーノルドの精神を基礎として、スポーツマンシップ、フェアプレーの重視、人間形成と教育に貢献するスポーツの振興を願って、近代オリンピックを興していくのです。

このように本来、「スポーツ」とは、「人間性を回復」(レ・クリエーション)し、人格を養い、信頼と愛によって結ばれた共同社会を形成し、心身の健康を増進し、自然と共感するための「人間教育の文化」でした。私たち立教大学は、その学則第1章第1条において、「本大学は、キリスト教に基づく人格の陶冶を旨とする」と定めています。その意味で、立教大学に、「スポーツウエルネス学部」が新設されることは、本学の建学の理念に照らしても、大いに意義あることです。

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