ママアスリートの実際 -親でありアスリートである日々とは?-

公開講演会開催レポート 2025年3月3日開催

2025/06/23

第1部 MANのママアスリートによる座談会

出産を経験したアスリートが5名登壇しました

アスリートによる座談会

第1部は、MAN監事であり、JOC理事・立教大学特任教授の土肥美智子がファシリテーターを務め、荒木絵里香(バレーボール)、小穴桃里(カーリング)、安達阿記子(ゴールボール)、岩崎こよみ(バレーボール)、寺田明日香(陸上)、の5名のアスリートパネリストによる座談会が行われました。

冒頭、岩崎こよみ選手が所属する上尾メディックスの大久保監督からコメントが寄せられました。「岩崎選手はもともと素晴らしい選手でしたが、出産・育児を経験する中で、アスリートとしてさらにパフォーマンスが上がったように感じます。これは荒木絵里香さんにも同じようなことを感じました」と以前に所属していた荒木絵里香代表理事についても言及。最後に「セミナーを通して、1人でも多くのアスリートやアスリートを支えるスタッフの心が少しでも軽くなり、一歩踏み出す勇気をもってもらえることを私も願っています」と結ばれました。

アスリートのある1日を動画や画像で紹介

(左上)小穴桃里選手、(右上)岩崎こよみ選手、(左下)安達阿記子選手、(右下)寺田明日香選手

続いて、各パネリストの1日に密着し、お子さんを起こして朝食を用意し、保育園や学校などにお見送りする朝から、トレーニングに向かい、時にはお子さん同伴で練習をするシーンまでの様子などを画像や動画を交えて紹介しました。
ファシリテーターを中心に、各パネリストの出産後の競技復帰経験について、復帰時期や身体の変化、育児と競技の両立における課題などを語りました。
その中で、家族のサポート、特に実家の両親や配偶者の協力が不可欠であることが共通認識として挙げられ、チームや所属組織の理解と支援体制も重要な要素として指摘されました。

第2部 人生設計シートの紹介

荒木絵里香代表理事と本橋麻里理事から「人生設計シート」の目的や概要を解説しました

第2部では、MANが作成し、アスリートや関係者などに広く提供している「人生設計シート」について解説。シートの記入方法について、スポーツでの夢や目標、年齢や家族計画、目標実現のための具体的な行動を記入することなど、説明がありました。
(※セミナー参加者全員に人生設計シートを配布しています)

荒木絵里香代表理事の「人生設計シート」で高校時代から現在までを振り返りました

続いて、MANの荒木絵里香代表理事の「人生設計シート」を紹介しながら、荒木理事のアスリートとしての競技生活と出産・育児の両立について詳しく振り返っていきました。ご自身が10代の頃から生理痛に苦しんだ経験や、20代前半での体調管理や妊娠・出産に関する意識について言及。「子どもは欲しいという気持ちと、バレーが大好きで長く続けたい、競技者として限界までやりたいという思いがあった」と当時の葛藤を語りました。

また出産後の競技生活との両立について具体的な経験や、子育てをしながらの競技活動における時間管理の重要性、チームメイトからのサポートの価値についても語りました。アスリートの人生におけるさまざまなステージでの課題と対応策について包括的な議論が展開されました。

シートの使い方(配布資料より)

荒木絵里香代表理事のシート記入例

本橋麻里理事より「人生設計シート」の活用について提案がありました

最後に、本橋麻里理事は人生設計シートについて「第1子がお腹にいる直前ぐらいの時に1回書いているのですが、もう1回書き直してみようかなと思いました」と語りました。さらに、指導者側として若い選手をはじめ、男性コーチなど選手を支える人たちにも一緒に考えてみてもらえるきっかけになればいいとも提案されました。

MANとしても、より多くの方に人生設計シートを活用していただくための活動を続けていきたいと思います。

荒木絵里香代表理事 本橋麻里理事

参加者アンケート

アンケートより一部をご紹介します
  • 日頃のお子さんとの様子を動画で見せていただき、子育てと競技の両立、そして家族のサポートの現状をリアルにお話しいただき、ありがとうございました。共感することが多くありました。
  • 皆さん色々な経験をしながらも計画を立てて人生を歩まれているのに感心しました。「人生設計シート」に書き込むことはその具体化の一つと思いました。
  • 「産後は人生の再設計である」という言葉がしっくりきたので、これから出産を迎える後輩たち、今、子育てに奮闘している後輩たちに伝えていきたいと思います。人生設計をデータで頂けたので、自分も今後を見据えて書いてみようと思います!
  • 想像できることも、想像しきれないことも、さまざまお話しいただくことで、改めて実感することができました。貴重な機会をありがとうございました。また参加する機会があったらうれしいです。
  • MANがスポーツに悩む家族のサードプレイスになると良いですね、本日はありがとうございました。
  • ご登壇されたみなさんが、出産後も楽しそうにお話しされている姿を見て、母になっても競技を楽しく続けられる姿が少し想像できました。1人で考え込むとどうしても社会的な望ましさやこうあるべきに捉われてしまうのですが、今回のセミナーを聞いて妊娠・出産への後ろ向きな考え方が変わった気がします。ありがとうございました。
  • 登壇された皆さんのお話、非常に楽しく勇気や元気をもらいました。座談会ではアスリートと子育ての両立のコツや実例、お話を聞くことができました。人生設計プログラムシートでは、ベテラントークを展開され、有意義な時間となりました。ありがとうございました。きっといい社会になりそうな予感がします!
  • 大変有意義な発信でした。ママ部分ばかりクローズアップされがちですが「職業アスリート」の働く女性として、皆様の話がいろんな形で広がるといいなと思います!
  • 私はアスリートではないですが、子育てや健康面でアスリートママをサポートしたい気持ちが高まりました。女性の社会課題を実感しました。
  • 代表選手の皆さんはしっかりとしたサポート体制が整っていたり、相当な覚悟を持って競技に臨まれていたり、競技や個人の環境によってそれぞれ差はあれど、自分の夢を諦めずに突き詰めていく力は本当にすごいなと思いました。結婚、出産を経ても続けられる環境があれば…と思っていましたが、環境のせいにして、自分自身で諦めていたことを思い知らされた気もしました。そこまでの覚悟を持てなかったあの頃の自分のためにも、今からしっかりとこれからの女性アスリート、ママアスリートをサポートできる私になりたいと強く決意できました!開催者さま、登壇者の皆さま、本日は大変ありがとうございました。
  • 今回、このセミナーに参加できて大変勉強になりました。ありがとうございました。始めから計画的に復帰を考えていた方、そうでない方、産後ポジティブな心理だったり産後鬱の症状が出たり。いろんな経験をされた方のお話を聞けて、産後も復帰して頑張っている方をかっこよく思うと同時に、羨ましくも感じました。実際自分も、海外での活動が多く、海外選手は産後復帰することに対して抵抗がないのを目の当たりにしていましたが、どこかで、自分には無理だなと思っていました。そう思っている日本の現役選手はまだ多いと思うので、自分がやる、やらないにしろ、そういった女性アスリートのキャリアの選択肢を増やしていける手助けが自分にも出来たらいいなと(漠然とですが)思うことができました。貴重な機会をありがとうございました。
  • 同じ女性アスリートとして、参考にさせていただきました。子育てしながらでも、ママ自身が自分の夢や可能性を諦めないでもよい社会にしていけたら素敵だなと思っています。ロールモデルが近くにいないので、自分がロールモデルになれたらなと思いますが、1人では心が折れそうな日々を過ごすだけになってしまうので、周りを巻き込みながら理解ある社会にしていけたらと思っています。本日はありがとうございました!

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