有限要素解析を駆使することで明らかになるもの
石井 秀幸 准教授
2022/08/01
教員
OVERVIEW
現代社会が抱えるさまざまな課題を抽出し、豊かな人間性を基盤とし、高度なウエルネス社会の構築に寄与するスポーツウエルネス学。3つの専門領域を柱とし、どのような学びや研究が進められているかをご紹介します。専門研究例としてアスリートパフォーマンス領域について石井 秀幸 准教授に伺いました。
私は「有限要素解析」という手法を用いて、身体動作にともない生じる現象を明らかにする研究に取り組んでいます。有限要素解析とは、物体を形状・材料特性・摩擦・荷重などを含めてコンピュータ上でモデル化し、全体の挙動をシミュレーションする手法です。例えば、サッカーでボールをカーブキックする際、シューズのアッパー部に施された凹凸や摩擦を高める素材がボール挙動に与える効果について研究を行い、学術雑誌「Scientific Reports」に掲載されたことがあります。この研究では、ボールと足部のインパクト中に、足部がボールにめり込んで深く噛み合ってしまうため、アッパー部に工夫を施してもボールの回転にほとんど影響を及ぼさないという研究結果を得ることができました。現在は、この手法を用いた研究をさらに発展させ、着地やランニング動作における接地中の足部内部で生じる力学現象の解明を行っています。
通常、スポーツバイオメカニクス分野では、身体動作をハイスピードカメラや光学式モーションキャプチャシステムで計測して位置座標を取得し、速度や加速度、角度や関節トルクなどを算出して、身体動作を分析する手法が一般的です。しかしそのアプローチでは、足部内部でどのような挙動が生じるか、どこに負荷がかかるか、どこが機能しているかなどを分析することはできません。そこでまず足部をCTやMRIで撮影し、足部表面や骨の形状を抽出して、得られた形状データを有限要素解析のソフトウェアに取り込みます。そして、骨・腱・靱帯・軟部組織など、足部を構成する多くの組織のパラメーターを考慮した有限要素モデルを構築し、コンピュータ上でさまざまな数値を与えながらシミュレーション解析を行っていきます。
コンピュータ上では、筋力の増加・低下、加齢による腱の柔軟性の低下なども数値入力で反映することができます。この研究を発展させることができれば、スポーツパフォーマンスの向上だけでなく、外傷・障害の予防、健康の維持・増進、人間生活の維持・向上、製品開発などにも貢献することができると考えています。
通常、スポーツバイオメカニクス分野では、身体動作をハイスピードカメラや光学式モーションキャプチャシステムで計測して位置座標を取得し、速度や加速度、角度や関節トルクなどを算出して、身体動作を分析する手法が一般的です。しかしそのアプローチでは、足部内部でどのような挙動が生じるか、どこに負荷がかかるか、どこが機能しているかなどを分析することはできません。そこでまず足部をCTやMRIで撮影し、足部表面や骨の形状を抽出して、得られた形状データを有限要素解析のソフトウェアに取り込みます。そして、骨・腱・靱帯・軟部組織など、足部を構成する多くの組織のパラメーターを考慮した有限要素モデルを構築し、コンピュータ上でさまざまな数値を与えながらシミュレーション解析を行っていきます。
コンピュータ上では、筋力の増加・低下、加齢による腱の柔軟性の低下なども数値入力で反映することができます。この研究を発展させることができれば、スポーツパフォーマンスの向上だけでなく、外傷・障害の予防、健康の維持・増進、人間生活の維持・向上、製品開発などにも貢献することができると考えています。
※本記事は「スポーツウエルネス学部 学部案内2023」をもとに再構成したものです。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
プロフィール
PROFILE
石井 秀幸 准教授
東京工業大学大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻博士課程修了。博士(工学)。産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究センター特別研究員などを経て、2010年立教大学コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科助教に着任。2015年同特任准教授。2020年同准教授。
石井 秀幸(研究者情報)