夜更かしをすると、心身には何が起こるか
石渡 貴之教授
2025/06/09
教員
私が専門としている「環境生理学」をわかりやすく言えば、「環境の変化(ストレス)は、私たちの身体や生理機能にどのような影響を及ぼすのか」を探究する科学です。例えば皆さんの中に夜更かしばかりしている人はいませんか?そうなると日中はどうしても眠くてだるくなるし、やる気も集中力も出てこない。「でもそれは単に寝不足のせいだ」と思っている人も多いのではないでしょうか。しかし実は、皆さんの体の中では、そうした夜更かしによるホルモンの分泌異常や内臓への影響が出ているかもしれないのです。
私の研究の一つは、実験体にラットを用い、日照時間を変化させることによって脳内の神経伝達物質分泌がどのように変化するかを比較検証することです。
具体的な実験方法の一つは、光を当てる昼時間と当てない夜時間を逆転させたラット群とそうでないラット群を比較し、幸せホルモンと呼ばれる脳内神経伝達物質のセロトニンや興奮に関係するドーパミン、ストレスに関係するノルアドレナリンの推移を検証しました。すると昼夜を逆転させたラット群は、セロトニンとドーパミンの含有量が減り、逆にノルアドレナリンの含有量が増え、体温変化のリズムがなくなって箱の隅っこでずっと寝るようになってしまったんです。また光を当てる時間を不規則にしたラット群は、過食になりやすいというデータを得ることもできました。こうした実験結果から考えられることは、不規則な生活によってなんとなく感じる不調感は、単に「寝不足」という一言ではすまない神経伝達物質の異常が皆さんの脳内で起こっているということです。また運動に関しても、自発的に行うラット群に対し、強制的に運動させられるラット群はストレスによる体温上昇が常態化するという研究結果を得ることができました。
こうした環境変化を人間に置き換えれば、学校や職場、高齢者施設といったさまざまな場面が想定されます。科学的知見に基づいてストレス要因を検証する。これも、ウエルネス社会の実現を目指す本学部の、多様な学びと研究の一つです。
私の研究の一つは、実験体にラットを用い、日照時間を変化させることによって脳内の神経伝達物質分泌がどのように変化するかを比較検証することです。
具体的な実験方法の一つは、光を当てる昼時間と当てない夜時間を逆転させたラット群とそうでないラット群を比較し、幸せホルモンと呼ばれる脳内神経伝達物質のセロトニンや興奮に関係するドーパミン、ストレスに関係するノルアドレナリンの推移を検証しました。すると昼夜を逆転させたラット群は、セロトニンとドーパミンの含有量が減り、逆にノルアドレナリンの含有量が増え、体温変化のリズムがなくなって箱の隅っこでずっと寝るようになってしまったんです。また光を当てる時間を不規則にしたラット群は、過食になりやすいというデータを得ることもできました。こうした実験結果から考えられることは、不規則な生活によってなんとなく感じる不調感は、単に「寝不足」という一言ではすまない神経伝達物質の異常が皆さんの脳内で起こっているということです。また運動に関しても、自発的に行うラット群に対し、強制的に運動させられるラット群はストレスによる体温上昇が常態化するという研究結果を得ることができました。
こうした環境変化を人間に置き換えれば、学校や職場、高齢者施設といったさまざまな場面が想定されます。科学的知見に基づいてストレス要因を検証する。これも、ウエルネス社会の実現を目指す本学部の、多様な学びと研究の一つです。
※本記事は「スポーツウエルネス学部 学部案内2026」をもとに再構成したものです。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
プロフィール
PROFILE
石渡 貴之 教授
[keyword]#生理機能 #ストレス #セロトニン
日本体力医学会、日本生理学会の評議員、全国大学体育連合の理事を歴任。米国コロラド大学デンバー校や豪州フリンダース大学のResearch Scholarとして研究に従事 。博士(理学)。2008年より、立教大学コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科助教。2018年4月、現職。