小林 哲郎 准教授
(スポーツデータサイエンス、人工知能)

教員紹介インタビュー

2024/05/06

教員

研究内容

私は、データサイエンス的手法の適用およびAI(人工知能)の応用を通じて、スポーツや健康分野における課題解決に取り組んでいます。近年、スポーツ分野においても、先進的なデータ収集技術や生成AIの利用等が注目されています。この背景には、データ収集テクノロジー、データ解析技術、データ解析基盤技術の発展があります。また、そのような先端技術が安価で、場合によっては無料で提供される時代になり、テクノロジーが我々にとってかなり身近なものになりました。しかし、スポーツ現場では、これらのテクノロジーから得られる大容量データを十分に活用しきれていないという課題があります。 この課題に対処するため、私の研究は3つのテーマに分けられます。
1つ目の研究テーマは、スポーツで収集可能な各種データを活用した体調不良の予兆検知を行う方法の開発です。このテーマでは、アスリートのトレーニングやトレーニング時に取得するGPSデータ、ウェアラブルデバイスから得られるバイタルデータ、AI技術を活用したデータ収集法を組み合わせ、アスリートの体調不良の予兆をできる限り早い段階で検知することを目指しています。そのためにどの種類のどのデータを利用すべきかについて、継続的にスポーツチームのアスリートやコーチと議論しながら研究を進めています。スポーツの種類によって扱っているデータが異なるため、スポーツが変わればデータ分析の手法も異なるため、非常にやりがいがある研究です。
2つ目の研究テーマは、スポーツにおける怪我の予防および要因特定です。怪我が予防できれば、アスリートのパフォーマンス向上だけでなく、チーム全体がレジリエントな状態を保ち、最大限のパフォーマンスを発揮できるようになります。この研究では、トレーニングデータ、フィジカルデータ、睡眠データなど多岐にわたるデータを利用して、怪我の要因特定をし、怪我の予防策としてどのようなものが適切であるかを探求しています。
3つ目の研究テーマは、スポーツチームのデジタルトランスフォーメーション(DX)です。スポーツの現場で収集されるデータをいかに素早く分析し、アスリートやコーチにフィードバックするかが重要ですが、現在はそのフィードバックサイクルを短時間で行うことに課題があります。チーム全体でデータを効率的に蓄積、処理、可視化し活用する、そのようなデータ駆動型のチーム運営が求められる時代になりました。簡単な例ですが、従来の方法ではデータの処理に毎日数時間かかっていたものを、最新技術を利用してわずか5分に短縮させることができれば、スポーツチームのスタッフは本来取り組むべきタスクに取り組むことができるようになります。スポーツチームのDXは、データの可能性を最大限引き出すだけでなく、チームスタッフの業務効率化にもつながるため、チーム全体のパフォーマンスを向上させることに寄与します。

研究指導

私のゼミでは、実践を重視した教育方針を採用しています。具体的には、実際のスポーツチームが直面している課題を選択し、その問題解決に必要なデータ収集、データ加工、データ分析、そして分析結果をもとにした次の意思決定(アクション)の提案までを一連の流れとして学ぶことができます。場合によっては、課題の定義から学生に取り組んでもらうこともあります。

このゼミを通じて、学生にはスポーツチームにおける問題解決の方法論のみならず、プログラミング、データベース、データ分析手法などの一連のスキルも身に着けることを目標に置いてもらっています。生成AIについては、そのメリットとリスクを十分に理解してもらった上で、研究その他の活動で生成AIを活用してもらうように働きかけていますし、授業でも生成AIを活用した課題を出すこともあります。文系出身の学生であっても、データリテラシーおよびデータサイエンス関連の基礎スキルを習得することが可能です。私自身も元々は文学部出身であり、その経験を活かして多様なバックグラウンドを持つ学生の支援に努めています。

受験生へのメッセージ

データサイエンスやAIに対する世の中の期待は高まり続けており、2022年は特にAI(人工知能)の飛躍の年となりました。AIが日常生活に浸透することで、AIに対する理解も深まり、今やAIを使わない選択肢はありません。どれだけAIを使いこなせるかが、これから重要となってきます。たとえば生成AIの活用により、単純作業や定型作業を効率よく処理することが可能になり、大切な時間を節約できます。この時間の余裕が、「自分が本当にやりたいこと」に時間を使うことを可能にし、それが「自分らしさ」を生み出す原動力となります。これはウエルネスを実現する一つの方法としても考えられます。私の研究室ではスポーツや健康分野におけるデータの可能性を積極的に探究しています。あなたもこのフィールドで、AIとデータサイエンスの力を学び、活用することで、未来を切り開く一員となりませんか?
※インタビュー当時の情報です。

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