2025/01/16 (THU)
松長大祐さん(2022年度大学院博士課程後期課程修了、石渡研究室)の論文がBehavioural Brain Researchに掲載されました
OBJECTIVE.
松長大祐さん(2022年度大学院博士課程後期課程修了、石渡研究室)の論文「Comparison of forced and voluntary exercise types on male rat brain monoamine levels, anxiety-like behavior, and physiological indexes under light and dark phases」がBehavioural Brain Researchに掲載されました.詳しくは下記URLを参照下さい。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0166432824004777
■研究の背景、目的
運動は心身の健康を改善するが、自発または強制的な運動様式の違いは不明である。また、明期と暗期のような実験タイミングの違いが運動タイプに及ぼす影響に関する知見は限られている。そこで我々は、自発運動と強制運動が、明期と暗期における脳内モノアミン濃度(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン)、不安様行動、生理的ストレス反応(体温、副腎重量など)の変化に及ぼす影響を調べた。
■研究方法
Wistar系雄性成体ラットを4群に均等に無作為に割り付けた。コントロール群(運動なし)、自発運動群(回転輪を自由に走る)、自発運動制限群(回転輪による運動は1日1時間のみに制限)、強制運動群(強制回転輪を走らせる)。各群はさらに、暗期実験条件群と明期実験条件群に分けられた。4週間後、ラットは不安様行動を測定するオープンフィールドテストを行った。更に、行動、認知、不安、ストレスに関連する脳の主要な神経細胞体と投射領域における、モノアミンとその代謝産物レベルを高速液体クロマトグラフィーにて測定した。
■研究結果
強制運動は、不安様行動の増加や副腎肥大を示し、運動時を除いた時間にも体温上昇が観察された。強制運動と比較して自発運動は、セロトニンの細胞体と情動に関わる投射先脳部位において、セロトニンやドーパミン含有量が増加し、不安様行動が抑制された。このような結果から、強制運動によるストレスは、情動に対して悪影響であること示唆された。また、自発運動を1時間に制限した場合は、自発運動の効果が十分に得られないことが明らかとなった。更に、これらの違いは、暗期においてのみ観察された。
■結論
本研究結果から、自発運動は主にセロトニン作動性神経系とドーパミン作動性神経系を刺激し、強制運動は生理的ストレスを誘発し、不安様行動を増加させることが示唆された。この研究は、行動神経科学実験において、運動の種類と明期/暗期を考慮することの重要性を強調している。
■論文情報
Daisuke Matsunaga, Hikaru Nakagawa, Takayuki Ishiwata, Comparison of forced and voluntary exercise types on male rat brain monoamine levels, anxiety-like behavior, and physiological indexes under light and dark phases, Behavioural Brain Research, 115321, 2024.
DOI: 10.1016/j.bbr.2024.115321.
■研究代表者
松長大祐
大阪電気通信大学 医療健康科学部 健康スポーツ科学科 特任講師
運動は心身の健康を改善するが、自発または強制的な運動様式の違いは不明である。また、明期と暗期のような実験タイミングの違いが運動タイプに及ぼす影響に関する知見は限られている。そこで我々は、自発運動と強制運動が、明期と暗期における脳内モノアミン濃度(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン)、不安様行動、生理的ストレス反応(体温、副腎重量など)の変化に及ぼす影響を調べた。
■研究方法
Wistar系雄性成体ラットを4群に均等に無作為に割り付けた。コントロール群(運動なし)、自発運動群(回転輪を自由に走る)、自発運動制限群(回転輪による運動は1日1時間のみに制限)、強制運動群(強制回転輪を走らせる)。各群はさらに、暗期実験条件群と明期実験条件群に分けられた。4週間後、ラットは不安様行動を測定するオープンフィールドテストを行った。更に、行動、認知、不安、ストレスに関連する脳の主要な神経細胞体と投射領域における、モノアミンとその代謝産物レベルを高速液体クロマトグラフィーにて測定した。
■研究結果
強制運動は、不安様行動の増加や副腎肥大を示し、運動時を除いた時間にも体温上昇が観察された。強制運動と比較して自発運動は、セロトニンの細胞体と情動に関わる投射先脳部位において、セロトニンやドーパミン含有量が増加し、不安様行動が抑制された。このような結果から、強制運動によるストレスは、情動に対して悪影響であること示唆された。また、自発運動を1時間に制限した場合は、自発運動の効果が十分に得られないことが明らかとなった。更に、これらの違いは、暗期においてのみ観察された。
■結論
本研究結果から、自発運動は主にセロトニン作動性神経系とドーパミン作動性神経系を刺激し、強制運動は生理的ストレスを誘発し、不安様行動を増加させることが示唆された。この研究は、行動神経科学実験において、運動の種類と明期/暗期を考慮することの重要性を強調している。
■論文情報
Daisuke Matsunaga, Hikaru Nakagawa, Takayuki Ishiwata, Comparison of forced and voluntary exercise types on male rat brain monoamine levels, anxiety-like behavior, and physiological indexes under light and dark phases, Behavioural Brain Research, 115321, 2024.
DOI: 10.1016/j.bbr.2024.115321.
■研究代表者
松長大祐
大阪電気通信大学 医療健康科学部 健康スポーツ科学科 特任講師
■石渡研究室
石渡貴之
立教大学 スポーツウエルネス学部 スポーツウエルネス学科 教授
石渡貴之
立教大学 スポーツウエルネス学部 スポーツウエルネス学科 教授
https://sites.google.com/rikkyo.ac.jp/rikkyo-univ-ishiwata-lab/welcome